人間環境学研究
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論文
日本における成人のきき手ときき足について
川上 綾子八田 武志伊藤 保弘
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2004 年 2 巻 2 号 p. 2_51-2_55

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抄録

本研究は、わが国におけるこれまでのきき手調査が主に大学生を対象として実施されてきたことを踏まえ、一般社会における成人のきき手およびきき足について調査し、その分布傾向と左きき(ないし非右きき)の発現要因について検討することを目的とした。H.N.きき手テストならびにH.I.きき足テストによる825名(19~89歳)への調査から、主要な結果として次の点が見いだされた。(1)きき手について、大学生のみを対象とした先行研究(Hatta & Kawakami, 1995)の結果と比べ、今回の若年層グループ(19~29歳)では非右ききの発現率が高かった。(2)きき手・きき足ともに、若年層グループは中間層グループ(30~59歳)および老年層グループ(60~89歳)より非右ききの発現率が高かった。(3)都市生活者と地方生活者との比較では、きき手の分布には違いが見られたがきき足については違いがなかった。これらの結果は、左ききの発現が脳における病理学的要因と関連している可能性を示すとともに、社会文化的要因の影響も受けていることを示唆している。

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© 2004 人間環境学研究会

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