人間環境学研究
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日本における家族間の家事分担に関する実態調査
作業療法介入に向けた予備的研究
岩崎 也生子近藤 知子
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2024 年 22 巻 1 号 p. 17-22

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抄録

家事は、人が生活し、家庭を維持して行く上で不可欠であり、地域での自立や、役割の獲得・維持において重要であると認識されてきた。家事の形態や、家事に対する価値観は、時代と共に変化するとされ、今日では、女性の就業率の増加、世帯の高齢化、単身世帯の増加、テクノロジーの変化などにより、家事の担い手や家事の量が著しく変化している。家事の不平等感は、うつなどの精神的問題を生じると言われているものの、家事の実態が十分に明らかにされているわけではない。そこで本研究では、家事の中でも、食事の準備、掃除、洗濯、買い物等の9つの作業の作業に焦点を当て、これらの作業の工程を細分化し実施個数を算出した。その上で、実施者と実施の際の負担感について調べ、ライフステージ、家事量の男女差、妻の就労状況、生活満足度、負担感との関連を明らかにした。対象は、地域在住の健常者、120世帯に対して自記式質問紙調査を実施した。結果、57世帯、179名より回答が得られた。平均世帯人数は3.2人、平均年齢は36.8歳であった。各世帯の平均家事個数は78±14.53個、女性が多い事が確認された。生活満足度は、家事時間や家事量(個数)や家事への興味・重要度との相関はなく、役割分担の満足度との相関がみられた(r = 0.353)。家事全体の負担感は、興味との逆相関(r = –0.331–0.497)がみられた。本研究では、家事を「見える化」した上で、実施個数を家事量として定量的に調査した。全体の家事量はライフステージ間で差はないが、負担感は高齢世帯で増加しており、この世帯への介入が求められる。性差では、妻の就業状況により夫との家事分担が進んでいるものの、全体的には女性の家事量が3倍近くあった。役割分担と生活満足度に相関がみられた事から、家事の負荷量の調整や、家族間での協業を視野に入れた介入が求められる可能性がある。

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© 2024 人間環境学研究会

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