日本歯科保存学雑誌
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原著
Carisolv™処置における齲蝕象牙質除去の臨床的判定基準
山田 嘉重木村 裕一清水 由子増田 宜子木下 潤一朗中村 幸生川中 岳雄石井 理恵松本 光吉
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2007 年 50 巻 2 号 p. 245-255

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抄録

この研究の目的は,Carisolv™処置後の象牙質において従来の判定法と,齲蝕検知用染色液(カリエスチェック)およびDIAGNOdent®を用いた齲蝕除去の判定法における,齲蝕象牙質除去の有用性を比較検討することである.本研究ではヒト抜去歯で,浅在性齲蝕のある20本と深在性齲蝕のある20本を選別し,それぞれ2つのグループに分けた.Carisolv™を用いて齲蝕除去を行った後,残存した齲蝕に対して従来行われている視覚的・感覚的な判定法,またはカリエスチェックとDIAGNOdent®を併用した判定法を行った.齲蝕を除去して,通法に従い光硬化型レジン充填後,試料をローダミンB液に浸漬し,実体顕微鏡と走査電子顕微鏡にて観察するため2分割した.結果として,従来の方法を用いた判定基準後の象牙質は,浅在性齲蝕において20%,深在性齲蝕において50%の割合でカリエスチェックにより染色された.辺縁漏洩試験と走査電子顕微鏡による診査では,従来の判定法を用いたほうが象牙質とレジンとの間にギャップが観察され,特に深在性齲蝕においては有意差が認められた.臨床においてCarisolv™を用いて齲蝕除去を行う場合は,カリエスチェックやDIAGNOdent®を併用し,齲蝕除去終了を判断するほうがよいことが示唆された.特に深在性齲蝕の除去においては,この新たな判定法を参考に処置を行う必要性があると考えられた.

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© 2007 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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