2007 年 50 巻 3 号 p. 344-349
目的:今回われわれは,小児神経芽細胞腫の治療である化学療法が及ぼす歯の形成障害について検討を加えたので報告する.方法:京都府立医科人学附属病院小児科にて神経芽細胞腫と診断された11症例(男児7症例,女児4症例)に対して,化学療法前後で口腔内診査およびパノラマX線写真診査を施行した.結果:化学療法開始年齢は,2カ月〜5歳3カ月であった.そのうち2歳までに化学療法を開始した7症例において,パノラマX線写真所見上,第一小臼歯,第二小臼歯,上顎側切歯,第二大臼歯に歯の形成障害が認められた.そして,歯胚形成時期と石灰形成時期に化学療法を開始した症例においては,化学療法終了後,歯の形成障害が認められた.結論:本報告から,神経芽細胞腫における化学療法は歯の形成障害と関連があることが示唆された.