日本歯科保存学雑誌
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原著
硬組織による根尖孔の封鎖例
五明 俊二河野 哲吉田 隆一関根 一郎
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2007 年 50 巻 3 号 p. 350-357

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抄録

根管充填の目的は,根管および根尖部を緊密に封鎖し,根管経由の外来刺激から根尖歯周組織を防御し,歯を半永久的に保存することである.現在の根管充填は物理的に封鎖する方法が主流であるが,根管充填材の劣化が原因で根尖性歯周炎となることがある.よって,積極的に根尖部に硬組織を形成させ,根尖を封鎖させる方法がよいと思われる.しかし,この形成された硬組織が根尖部根管を完全に封鎖しているかどうか,また,感染に対して防壁となるのかは不明である.そこで今回,生体材料であるTBCおよびα-TCPを用い,実験的に根尖部に硬組織を形成させ,再び根管を開放することで,根尖部が完全に封鎖しているのかどうか,新生硬組織が感染に対する防壁となりうるのかどうかを病理組織学的に検討した.その結果,TBCおよびα-TCP 12カ月経過例では炎症性細胞の浸潤も認められず,根尖部において新生硬組織による緻密な封鎖を認め,根管を開放したにもかかわらず,根尖歯周組織には炎症が認められなかった.よって,根尖部の硬組織による封鎖の重要性が示唆され,形成された新生硬組織は感染に対する防壁となった.

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© 2007 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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