日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
齲蝕原因菌に対する柿蔕抽出成分の抗菌効果
小西 美徳鈴木 英明池見 宅司
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 51 巻 3 号 p. 299-307

詳細
抄録

齲蝕は世界的に最も頻度の高い口腔疾患の一つであるとともに,Streptococcus mutansを代表とする齲蝕原因菌による内因性疾患であることが明らかにされている.近年,健康に対する認識の向上とともに自然食品への関心が高まり,それらの健康への効用ならびに薬効作用が注目されている.柿(Diospyros Kaki Thunb.)は,日本古来より果実としてなじみの深い食品であるとともに生薬としても用いられ,抗酸化作用,抗炎症作用,抗菌作用などのいくつかの生物学的活性を有する.今回,われわれは抗吃逆剤として用いられてきた柿の蔕(へた)を乾燥した柿蔕(してい, Kaki Calyx)の抽出成分に着目した.本研究の目的は,より有効な齲蝕予防を行うために柿蔕抽出成分であるウルソール酸およびオレアノール酸の抗菌作用について,in vitro実験において調べることである.検討の結果,以下の知見が得られた.1. S. mutansに対する最小発育阻止濃度は,ウルソール酸において60μg/ml,オレアノール酸において120μg/mlであった.2. Actinomyces viscosusに対する最小発育阻止濃度は,ウルソール酸において30μg/ml,オレアノール酸において60μg/mlであった.3. ウルソール酸ならびにオレアノール酸の抗菌作用は,S. mutansおよびA. viscosusのresting cellに対して殺菌的であった.4. ウルソール酸ならびにオレアノール酸は,S. mutans PS-14(c)株産生粗glucosyltransferaseのショ糖依存性非水溶性グルカン合成活性を顕著に阻害した.以上のことより,柿蔕抽出成分であるウルソール酸およびオレアノール酸は齲蝕原因菌に対して顕著な殺菌作用が認められ,抗齲蝕作用を有することが示唆された.

著者関連情報
© 2008 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top