日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
根尖性歯周炎ラットモデルを用いたCGRPおよびTH陽性神経線維に対する組織学的検討
若森 めぐみ山本 俊郎赤松 佑紀西垣 勝大迫 文重雨宮 傑林 誠司中西 哲金村 成智
著者情報
キーワード: 根尖性歯周炎, CGRP, TH
ジャーナル フリー

2008 年 51 巻 3 号 p. 316-322

詳細
抄録

日常臨床において,根尖性歯周炎は局所炎症が消失しても,しばしば疼痛が持続することがある.本症状には,歯根表面に存在する感覚受容体である歯根膜に存在する知覚神経線維,および上頸神経節由来の交感神経終末の関与が考えられる.そこで本研究では,根尖周囲組織における知覚神経および交感神経線維の根尖性歯周炎への関与について検討を加えた.根尖性歯周炎ラットモデルを作製,灌流固定後,下顎骨を摘出,凍結切片を作製した.得られた切片に対して,hematoxylin eosin(HE)染色と知覚神経線維中のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP : calcitonin generelated peptide)および交感神経線維中のカテコラミン合成律速段階酵素の一つであるチロシンハイドロキシラーゼ(TH : tyrosine hydroxylase)について免疫組織化学の手法を用いた.さらにCGRPおよびTH免疫反応陽性神経線維に対しては,半定量化画像解析を実施した.歯髄感染を起こした根尖周囲組織のHE染色では,歯根膜腔の拡大,炎症性細胞の増加を認め,根尖性歯周炎が発症していた.根尖性歯周炎を発症した根尖周囲組織のなかでも歯根膜は,健全な歯根膜と比較してCGRPおよびTH免疫反応性が亢進,TH免疫反応陽性神経線維の発現強度が有意に増強した(p<0.05).以上から,根尖性歯周炎における持続した疼痛や炎症の一因として,歯根膜に存在する知覚神経線維中のCGRP免疫反応陽性神経線維および交感神経線維中のTH免疫反応陽性神経線維が関与する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2008 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top