2008 年 51 巻 6 号 p. 630-638
シリカ-レジン界面のポリシロキサン層の接着性を向上させるために,疎水性のフルオロアルキル基と重合性基をもつ新規クロル系シランカップリング剤(MAnF2S2C,n=4,6,8),たとえば3-メタクリロイルオキシプロピル-2-(ペルフルオロブチル)エチルジクロロシラン(MA4F2S2C)と3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-MPS)の混合シランの処理効果を調べた.各シラン処理溶液は,MAnF2S2Cを3-MPSに対し,20,40,60,80mol%の割合で混合し,混合したシラン処理溶液の2mass%エタノール溶液として調製した.それら混合シランで処理したガラス面に対するレジンの引張接着強さやガラス面に対する混合レジンモノマー(50%Bis-GMA,50%TEGDMA)の接触角を測定した.その結果,MA4F2S2Cは,3-MPSに20〜40mol%混合のとき,有意に高い接着強さと有意に低い接触角をもつカップリング層の形成に有効であった.