日本歯科保存学雑誌
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原著
ラット臼歯に誘発した根分岐部病変の初期発症過程における免疫機能分子およびtoll-like receptor mRNA発現の亢進
金子 友厚興地 隆史砂川 光宏金子 実弘Uraiwan CHOKECHANACHAISAKUL河村 隼須田 英明
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2009 年 52 巻 2 号 p. 154-160

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抄録

著者らは前報において,ラット臼歯正常歯根膜を検索対象として,抗原提示細胞に関連する各種免疫機能分子,およびtoll-like receptor 4(TLR4)のmRNA発現量をリアルタイムPCR法にて定量し,いずれも根分岐部における発現量が最も高いことを報告した.本研究においては,歯髄の感染に継発する根分岐部病変の発症段階において,免疫応答の実態を検索することを目的としてラット臼歯を1日間露髄開放し,正常時と露髄開放後の分岐部歯根膜におけるmajor histocompatibility complex(MHC)クラスII分子,CD86,CD83,TLR4,TLR2およびinterferon(IFN)-γ mRNA発現を,リアルタイムPCR法を用いて定量,比較した.その結果,以下の結論を得た.1.MHCクラスII分子,CD86,CD83,TLR4およびTLR2のmRNA発現は,露髄開放1日経過後で有意に増加した.特にTLR2 mRNAの発現増加が顕著に認められた.一方,IFN-γのmRNAには,有意な変化は認められなかった.2.ラット臼歯の根分岐部歯根膜に存在する抗原提示細胞が,歯髄の感染に起因する細菌刺激侵襲に応じて,すみやかに成熟度や活性化度を増加させることが示唆された.

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© 2009 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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