日本歯科保存学雑誌
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原著
シランカップリング処理時の添加触媒の違いとその濃度による効果
大橋 桂二瓶 智太郎森 梨江倉田 茂昭楳本 貢三寺中 敏夫
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2009 年 52 巻 2 号 p. 161-167

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抄録

マトリックスレジン/シリカフィラー界面の接着強さを調べる目的で,3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-MPS)を用いて酢酸,リン酸およびアンモニア水を触媒として加えた後の処理効果を検討した.3-MPSを50mmol/lエタノール溶液に調製し,種々の濃度に調製した各触媒を添加後,ガラス表面を処理し,コンポジットレジンを接着した際の引張接着強さおよび処理面に対する混合レジンモノマー(50%Bis-GMA,50%TEGDMA)の接触角を測定した.その結果,5.0vol%リン酸および5.0vol%アンモニア水をそれぞれ10.0vol%添加したときに,コントロール群(触媒未添加群)と比較して水中保管では有意に高い接着強さを示し(p<0.05),かつサーマルストレス後も有意な低下は示さなかった.また,触媒添加後の接触角はすべての添加群でコントロール群と比較して有意に低い値であった(p<0.05).以上より,5.0vol%リン酸を触媒に用いると効果的にシランカップリング剤の処理効果を高めることができると示唆された.

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© 2009 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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