日本歯科保存学雑誌
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原著
歯のマニキュアシステムの短期臨床評価
若木 卓海老原 隆新海 航一加藤 喜郎
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2010 年 53 巻 4 号 p. 349-358

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抄録

本研究は,歯のマニキュアシステムであるビューティコート™を用いて上顎前歯唇側面をコーティングし,色調変化,知覚過敏,辺縁部変色,摩耗,表面粗さおよび破折・脱落について3ヵ月間の臨床的耐久性を評価した.また,分光光度計を用いて測色検査を行い,データの統計分析によりビューティコート™の短期臨床経過を色彩学的にも評価した.術前に歯面清掃を行った後,上顎前歯の左右側のどちらかをグロスメーカー群,もう一方をグロスリファイン群としてコーティングを行った.グロスメーカー群では,プライマー(A液,B液)を1滴ずつ混合し,唇側エナメル質面に塗布して3秒間放置後,中圧にてエアブローを行った.次にホワイトベース(BW3)を塗布し10秒間光照射,表面硬化剤のグロスメーカーを全体に塗布し30秒間光照射後,さらに水洗・乾燥を行った.グロスリファイン群では,プライマーを塗布して3秒間放置後中圧にてエアブロー,ホワイトベース(BW3)を塗布し30秒間光照射した後,表面の未重合層をガーゼで拭き取り,グロスリファインで即日研磨を行った.評価時期は,修復直後をベースラインとし,1週,1ヵ月および3ヵ月後とした.グロスメーカー群とグロスリファイン群を比較すると,表面粗さの術直後にのみ有意差が認められた(p<0.01)が,その他の診査項目に関してはいずれの評価時期においても統計学的有意差は認められなかった(p>0.05).実験群ごとに修復物の経時的変化について統計学的に分析すると,知覚過敏を除いたすべての診査項目に関して有意差が認められ,両群とも経時的に劣化傾向を示した.ビューティコート™は,非切削で迅速な歯の色調改善方法として臨床において有用であることが示された.

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© 2010 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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