日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
初期引張接着強さに基づくAll-in-one adhesive systemの接着特性と信頼性
長倉 弥生新田 俊彦奈良 陽一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 6 号 p. 644-660

詳細
抄録

本研究では,All-in-one adhesive systemの初期引張接着強さ(ITBS)に基づく接着特性と信頼性を明らかにすることを目的に,代表的な6システムを選択し,in vivo/in vitro両用小型接着試験器を用いて,ヒト抜去上顎小臼歯頬側歯頸部に形成した規格化V字状窩洞のエナメル質面ならびに象牙質面に対するITBS測定を行い,評価検討した.得られた測定値に対しては二元配置分散分析,Tukeyのq検定およびメジアンランク法によるワイブル分析を行った.さらに,試験後の破断面についてデジタルマイクロスコープによる観察を行った.本実験の結果,今回検討した6システムは,エナメル質より象牙質を接着対象とする場合に,有意に大きな接着強さを獲得できることが判明した.また,各システム固有の接着強さ獲得に際しての信頼注はシステムによって異なり,エナメル質を対象とする場合に優れた信頼ら生を発揮するシステムと,象牙質において優れた信頼性を発揮するシステムとに類別できた.さらに,6システムのエナメル質および象牙質に対するITBS値は,環境因子とシステムの違いによって影響を受けた.エナメル質が接着対象である場合には,各システム固有の接着強さ獲得に際しての信頼性には有意差が認められるものの,特定のシステムによる顕著な優劣は確認できなかった.また,接着耐久性に対する環境因子の影響はシステムによって異なった.一方,象牙質においては,各システム固有の接着強さ獲得に際しての信頼ら生に有意差を認め,グループ化された優劣が確認できた.また,接着耐久性に対する環境因子の影響はシステムによって異なった.加えて,接着試験後の破断面において最も多く観察できた破壊様相は,混合破壊であった.

著者関連情報
© 2010 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事
feedback
Top