日本歯科保存学雑誌
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原著
接着性レジン系ルートキャナルシーラーの理工学的性質
小里 達也
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2011 年 54 巻 4 号 p. 233-241

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抄録

近年,市販された接着性レジン系ルートキャナルシーラー(以下,接着性レジン系シーラー)において,ISO準拠の理工学的性質に関する報告は少なく,特に,接着性モノマーを含有した接着性レジン系シーラーに関しては,いまだに報告されていない.本研究では,4-METAを含有したスーパーボンド根充シーラー(サンメディカル,以下,RC-Sealer)とMetaSEAL™(Parkell)について,ISO規格項目の理工学的性質を評価するために各種実験を行うと同時に,ISO規格に適合しなかった項目に関しては,他のシーラーも含めて同様の実験を行って比較検討した.ISO6876:2001(E)で要求されている7項目のフロー,操作時間,硬化時間,膜厚,硬化後の寸法変化,溶解性そしてX線不透過「生において,両接着性レジン系シーラーとも,寸法変化を除いた6項目についてはISO規格を満たす結果となった.規格を満たしていなかった寸法変化については,Epiphany® (Pentron), Epiphany® SE™ (Pentron), Tubli-Seal™ (SybronEndo), AH PIus®(Dentsply DeTrey), Root Canal Sealer (Henry Schein)およびSealapex™ (SybronEndo)の6種のシーラーについて追加検討を行った結果,硬化体が作製できなかったSealapex™を除いて,いずれのシーラーも規格を満たしていないことが確認された.寸法変化値はEpiphany®が最も高く,Tubli-Seal™が最も低い値を示し,数値の高いシーラー中には親水性モノマーが含有されており,寸法変化量は親水性モノマーの含有が影響しているものと考えられた.ユージノール系シーラーであるTubli-Seal™とRoot Canal Sealerの寸法変化量は比較的少なかったが,浸漬蒸留水中にシーラー成分が溶出している現象が確認された.4-METAを含有するRC-SealerとMetaSEAL™の2種の接着性レジン系シーラーに関して,ISO6876:2001 (E)の要求項目の7項目を評価した結果,寸法変化以外は規格を満たし,シーラーとして要求される諸性能を有していることが示された.規格を満たさなかった寸法変化についてのみ,他の6種のシーラーも評価した結果,すべてのシーラーが規格を満たしていなかった.

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© 2011 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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