日本歯科保存学雑誌
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原著
実習方法の違いが術式習得に及ぼす影響の検討 : (第1報)回転式ニッケルチタンファイルを用いた根管形成
矢野 淳也永吉 雅人西野 宇信鷲尾 絢子平田 志津吉居 慎二西藤 法子諸冨 孝彦寺下 正道北村 知昭
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2011 年 54 巻 4 号 p. 242-249

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抄録

歯内治療学実習では手用ファイルを用いた術式の技術習得が基本であるが,回転式ニッケルチタン製(Ni-Ti)ファイルが臨床に導入されている今,学生教育における回転式Ni-Tiファイルの技術習得も必要とされている.一方,多様化した歯科医療に対応するため臨床系基礎実習の比率は減少し,学生の技術習得に十分な実習時間の確保が困難になりつつある.今回,回転式Ni-Tiファイルによる根管形成法の基礎実習において,実習方法の違いが術式・技術の定着と学生の意識に与える影響について比較した.九州歯科大学歯学科5年生を被験者とし,マネキンに模型を装着して実習を行った群(マネキン群),模型を把持して実習を行った群(手持ち群),および実習を行わない群(コントロール群)に分け,マネキン群および手持ち群には5日間の連続した実習を行わせた.実習開始時,終了時,および終了から1カ月後に,全群に対し同じシミュレーション環境下で根管形成を行わせ,形成所要時間の計測と形成状態の評価を行った.また,実習到達度に関して,自己評価表を用いて,選択項目ならびにVAS (Visual Analog Scale)形式の無段階評価の分析を行った.その結果,5日間という短い期間でも連続して形成実習を行うほうが,学習効果が高く知識や技術の定着が良いことが示唆された.また,学生の意欲を持続させながら歯科治療に必須の姿勢・ポジショニングを早く習得させたうえで術式・技術を定着させるには,実習開始当初からシミュレーション環境下で連続実習を行うほうが効果的であることが示唆された.

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© 2011 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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