日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
セルフエッチングプライミング処理された従来型グラスアイオノマーセメントあるいはレジン添加型グラスアイオノマーセメントに対するレジン接着
森田 有香
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 54 巻 6 号 p. 448-465

詳細
抄録

レジンの歯質接着材が開発された1970年代半ば,レジンとエナメル質との接着は良好であったが,レジンと象牙質との接着は不十分であった.そのため,しばしば歯髄刺激が発生し,その対策としてグラスアイオノマーセメントによる裏層がなされた.また,深い窩洞でその容量が大きい場合,レジンの重合収縮量を制御するために,象牙質部分の代替材料としてグラスアイオノマーセメントが用いられ,いわゆる「サンドイッチテクニック」が提唱された.本法は,裏層材や歯質接着材が格段に進歩した現在においてもなされているが,裏層材とレジンとの接着に関する研究は,ほとんどなされていないのが現状である.本研究は,いわゆる「サンドイッチテクニック」において,最近の裏層材と接着システムを用いた場合のレジン接着について検討した.使用材料として,裏層材には,従来型グラスアイオノマーセメント(高強度型)であるFujilXGP(ジーシー),あるいは2種のレジン添加型グラスアイオノマーセメントであるFuji Lining LC(ジーシー),およびVitre Bond (3M ESPE)やフロアブルコンポジットレジンであるMI FIow(ジーシー)を用いた.接着システムには4種のセルフエッチングプライミングシステムを用いた.また,4種の接着システムにリン酸エッチング処理やシランカップリング処理を加えた場合の接着性も検討した.その結果,本研究の条件下では,従来型グラスアイオノマーセメント(高強度型),あるいはレジン添加型グラスアイオノマーセメントに対し,セルフエッチングプライミングシステムによる接着処理を施した場合,レジンは良好な接着性を呈することが明らかとなった.また,リン酸エッチング処理やシランカップリング処理は,レジンの接着を阻害するので注意を要することが明らかとなった.

著者関連情報
© 2011 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top