日本歯科保存学雑誌
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原著
フッ化物含有ペーストの塗布がシングルステップセルフエッチアドヒーシブのエナメル質接着性に及ぼす影響
陸田 明智小倉 由佳理古宅 眞由美飯野 正義石井 亮市野 翔坪田 圭司安藤 進宮崎 真至日野浦 光
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2012 年 55 巻 3 号 p. 211-218

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抄録

目的:シングルステップアドヒーシブのエナメル質接着性に対するフッ化物含有ペースト塗布の影響を検討した.材料と方法:供試したシングルステップアドヒーシブはBeautiBond, BondForceおよびG-Bond Plusの3製品である.ペーストの塗布条件としては,エナメル質面をペーストで30秒間研磨後,10分間経過した後に水洗する群(直後群)およびペーストの塗布を1日2回,7日間繰り返した群(7日群)の2条件とした.これらの被着エナメル質面に,アドヒーシブを製造者指示条件で塗布,光照射して,コンポジットレジンを接着させた.これらの試片は,24時間,37℃水中に保管した後,クロスヘッドスピード毎分1.0mmの条件で剪断接着強さを測定した.成績:フッ化物含有ペーストの塗布されたエナメル質面へのシングルステップアドヒーシブの接着強さは,ベースラインと比較して,直後群においては,いずれの製品においても有意差は認められなかったが,フッ化物非含有ペーストの塗布においては,その接着強さは製品によって異なるものであった.一方,7日群においては,フッ化物含有ペーストおよびフッ化物非含有ペーストともに,その接着強さは有意に低下し,接着試験後の破壊形式においても界面破壊が大勢を占めた.結論:フッ化物含有ペーストの塗布されたエナメル質に対するシングルステップアドヒーシブの接着性は,塗布されていない場合と比較して低下することが示唆された.

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© 2012 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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