日本歯科保存学雑誌
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ドーム型歯ブラシのプラーク除去効果と使用感
竹内 康雄藤川 佳奈若松 美江小林 宏明片桐 さやか和泉 雄一
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2013 年 56 巻 4 号 p. 277-284

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抄録

目的:歯ブラシヘッド部の形態や植毛状態は,プラーク除去に大きくかかわる部分である.本研究では,ドーム型植毛歯ブラシのプラーク除去効果および使用感について,従来型のものと比較することによりその有効性を検討した.材料と方法:東京医科歯科大学歯学部附属病院を受診した慢性歯周炎患者20名(男性9名,女性11名,平均年齢59.1歳)および全顎的に歯周組織が健康である歯科医師ボランティア20名(男性9名,女性11名,平均年齢28.1歳)を被験者とした.実験開始の24時間前より口腔清掃を中止させ,プラークを蓄積させた.ドーム型または平型(従来型)のいずれかの歯ブラシを無作為に歯周炎患者および歯科医師に与え,3分間のブラッシングを実施させた後,ブラッシング前後のプラーク付着状態をO'Learyのプラークコントロールレコードを改変した方法を用いて記録し,プラーク除去率を算出した.歯周炎患者についてはブラッシング指導を行い,同様の計測を2週ごとにさらに2回実施した.成績:ドーム型,平型いずれの歯ブラシを用いた場合でも,ブラッシング前後でプラーク付着率は統計学的に有意に減少した.なかでもドーム型歯ブラシを用いた歯科医師群ではほかの群よりも高い平均プラーク除去率を示したが(歯科医師ドーム型62.4%,歯科医師平型48.7%,患者ドーム型40.0%,患者平型40.6%),有意差は認められなかった.また上下顎の前歯,小臼歯大臼歯の部位別にプラーク除去率を比較したところ,ドーム型歯ブラシを用いた歯科医師群では,上下顎前歯部頬側および下顎大臼歯部舌側において,平型歯ブラシと比較し有意に高いプラーク除去率を示した.歯周炎患者における1〜3回の各測定時における平均プラーク除去率は,順にドーム型歯ブラシで40.0, 44.7, 45.9%,平型歯ブラシで40.6, 45.6, 41.2%であり,有意差は認められなかった.歯周炎患者を対象としたVisual Analog Scaleを用いた歯ブラシの満足度に関するアンケート調査では,ドーム型使用者では平型使用者のものと同程度の高い満足度が得られた.結論:ドーム型歯ブラシは平型歯ブラシと同等のプラーク除去効果が認められた.口腔衛生に関する理解度が高い者であれぼ,従来型の歯ブラシよりも高いプラーク除去効果が期待できるかもしれない.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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