日本歯科保存学雑誌
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歯周基本治療中における歯周病原細菌モニタリングの有用性に関する検討
須田 玲子宮澤 康滝口 尚小出 容子鶴見 亜有子三森 香織山本 松男
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2013 年 56 巻 4 号 p. 325-334

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抄録

目的:本研究では,歯周基本治療中における歯周病原細菌のモニタリングの有用性について検討した.方法:昭和大学歯科病院歯周病科に来院した歯周病患者で同意を得られた16名(男性6名,女性10名,平均年齢40.6歳)について,初診時(ベースライン),スケーリング・ルートプレーニング(SRP)直前,SRP 1カ月後,SRP 2カ月後に歯周組織検査と歯周病原細菌の検査を行った.1歯6点法にてプロービングポケットデプス(PPD),臨床的アタッチメントレベル(CAL),プロービング時の出血(BOP),Plaque Index (Pl I),排膿の有無(PUS)を検査した.PPDが4mm以上の1部位を歯周病部位,PPDが3mm以下の1部位を対照部位として歯周ポケット内の細菌検査を行った.歯周病原細菌はPorphyromonas gingivalis (Pg), Tannerella forsythia (Tf), Treponema denticola (Td), Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa)の4菌種を選択し,realtime PCR法にて細菌の検出を行った.結果:16名の被験者のうち,慢性歯周炎患者(CP群)7名,侵襲性歯周炎患者(AP群)9名であった.SRP 2カ月後まで細菌検査を行ったのは7名であった.ベースライン時において,Aaを除いた3菌種の陽性率はCP群のほうがAP群より高く,部位別では対照部位より歯周病部位に高い傾向を示した.対照部位でも陽性を示す部位はPl Iが高い傾向にあった,AaはAP群1名にのみ検出された.Pg, TfはSRP後も検出される割合が多かったのに対し,TdはPPDの改善とともに陰性となることが多かった.歯周組織検査の結果はSRP 1カ月後から安定したのに対し,歯周病原細菌の検出率はSRP 2カ月後まで変動していた.検出された菌種に応じて選択された経口抗菌薬を併用したフルマウス・スケーリング・ルートプレーニングを行った症例では,SRP 2カ月後に全菌種とも陰性となった.結論:歯周病の診断と治療において,歯周病原細菌のモニタリングを行うことはその診断や治療方針の決定に有用であることが示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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