日本歯科保存学雑誌
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Prevotella intermediaのチタンプレート上へのバイオフィルム形成
小幡 登山中 武志山根 一芳南部 隆之円山 由郷真下 千穂小川 歓多々見 敏章古森 賢福島 久典
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2013 年 56 巻 6 号 p. 507-515

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抄録

目的:Prevotella intermediaは黒色色素産生偏性嫌気性グラム陰性桿菌で,近年の研究では,清掃した歯面にごく早期に定着するinitial colonizersの一員で,インプラント周囲炎の起因菌としても報告されている.P. intermediaの一部の菌株は,菌体外多糖を産生し,強固なバイオフィルムを形成するが,チタンプレートへの付着とバイオフィルム形成については不明の点が多い.そこで今回,性状の異なる3株のP. intermediaを用いて,チタンプレート上でのバイオフィルム形成性を検討した.材料と方法:供試菌株は,バイオフィルム形成能をもつP. intermedia strain 17(strain 17)と,strain 17から得たバイオフィルムを形成しないvariantであるstrain 17-2,P. intermediaの標準菌株であるATCC 25611(ATCC 25611)を用いた.15mlのpolystyrene tubeにチタン円板もしくはインプラントフィクスチャーを垂直に固定し,enriched trypticase soy broth(enriched-TSB)を10ml注いだ後,各菌株の24時間培養菌液より10^8CFUをそれぞれ接種した.24時間から48時間嫌気培養後に,通法に従い走査電子顕微鏡(SEM)観察を行った.インプラントフィクスチャーへのバイオフィルム形成については,細菌接種後,24時間ごとにフィクスチャーを新しいenriched-TSBに移し,5日間の嫌気培養後にSEM観察した.また,フィクスチャー上へのバイオフィルム形成に与えるマクロライド系抗菌薬の低濃度処理の影響についても併せて検討した.結果:Strain 17とATCC 25611はチタン円板に付着したが,バイオフィルム非形成株であるstrain17-2はほとんど付着することができなかった.付着量はATCC 25611が最も多かった.フィクスチャーのプラットフォームへは,各菌株単独ではほとんど付着しなかったが,ATCC 25611とstrain 17を等量接種したケースでは,顕著なバイオフィルム形成がみられ,バイオフィルム形成菌に特徴的な菌体周囲のメッシュワークも認めた.また,このバイオフィルム形成は,培地に1/2MICで14員環マクロライド系抗菌薬を加えることで顕著に抑制された.結論:以上の結果から,P. intermediaがインプラント上へのバイオフィルム形成能をもち,これがマクロライドの低濃度処理で抑制されることが示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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