日本歯科保存学雑誌
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Leucine Rich Amelogenin Peptideによる軟骨形成の誘導
畠山 純子畠山 雄次松本 典祥春名 千英子諸冨 孝彦泉 利雄沢 禎彦笹野 泰之阿南 壽
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キーワード: アメロジェニン, 軟骨, LRAP
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2013 年 56 巻 6 号 p. 560-569

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抄録

目的:アメロジェニンスプライシングバリアントの一つであるleucine rich amelogenin peptide(LRAP)は,破骨細胞と骨芽細胞の成熟,歯根膜細胞の遊走および増殖を促進するシグナルペプチドとして示唆されている.近年,軟骨にアメロジェニンの発現が報告されている.しかし,LRAPが軟骨形成に関与するかについての詳細は不明である.本研究の目的は,軟骨形成におけるLRAPの機能を明らかにすることである.材料と方法:C57BL6/CrSlcマウスの胎生10日齢の肢芽を摘出後,トリプシン/コラゲナーゼ処理により細胞を分離し,マイクロマスカルチャーを行った.ブタリコンビナントLRAP(マウスLRAPと〜85%の相同性,Dr. Gibson(ペンシルバニア大学,USA)より供与)と陽性コントロールとしてマウスリコンビナントGrowth Differentiation Factor-5(GDF-5,R&D Systems,USA)を,1,10,100ng/mlずつ培地に添加した.培養開始2,4,6日後にアルシアンブルー染色を行った.24,48時間後にBrdU assayを行い,細胞の増殖を確認した.12,24,48時間後にRNAを抽出し,軟骨のマーカーであるSox9,II型コラーゲン(Col2a1)およびAggrecanの半定量的RT-PCRを行った.有意差検定にはANOVAとBonferroni's post hoc testを用いた.結果:添加24・48時間後で,LRAP添加0.1,1,10ng/mlのいずれにおいても,濃度依存的にBrdU陽性細胞がコントロール群と比較して有意に増加していた.コントロール群では添加2日後にアルシアンブルー染色陽性結節の出現がみられ,培養期間が長くなると陽性結節の染色性が増加したが,LRAPおよびGDF-5を添加した群では,濃度依存的・培養期間依存的にアルシアンブルーの染色性が強くなった.LRAP添加群では,24・48時間後にSox9の遺伝子発現が,また48時間後にCol2a1およびAggrecanの遺伝子発現上昇がコントロール群と比較して有意に上昇した.結論:これらの知見は,アメロジェニンスプライシングバリアントの一つであるLRAPが,軟骨形成を促進していることを示唆している.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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