日本歯科保存学雑誌
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ヒト微小血管内皮細胞に対するエムドゲイン®由来合成ペプチドの影響
高橋 宰達田口 洋一郎安井 菜津希田中 昭男梅田 誠
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2013 年 56 巻 6 号 p. 631-640

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抄録

目的:幼若ブタの歯胚から抽出されたエムドゲイン®(以下,EMDと略す)は,歯槽骨吸収の著しい歯周炎患者の歯周組織再生,特に無細胞セメント質を誘導し歯周組織の再生を促す材料として現在広く臨床応用されている.しかし,EMDは生物由来材料のため,未知の病原体の問題点を払拭できず患者からの拒否感があるのも事実であり,生物に由来しない合成ペプチドの開発が望まれていることから,EMDの基礎研究から得た成果を基に新規合成ペプチドを作製した.今回,硬組織の分化誘導過程における重要な歯周組織構成細胞であるヒト微小血管内皮細胞に対する,EMD由来新規合成ペプチドの影響について検討した.材料と方法:ヒト微小血管内皮細胞として,市販されている皮膚由来のヒト微小血管内皮細胞を実験に使用し,ヒト微小血管内皮細胞に対する新規合成ペプチドの影響としては,細胞の増殖,遊走,管腔の形成および細胞接着分子の発現について検討した.実験群では合成ペプチドを100ng/mlの濃度で培地に溶解させヒト微小血管内皮細胞に応用し,対照群は合成ペプチド無添加とした.細胞増殖に関しては,30分,1,3,6,24,72時間培養後に,細胞遊走に関してはBoyden chamber法を改良して,1,3,8時間後にそれぞれを測定した.管腔の形成は,三次元培養を施し培養6日後に細胞骨格を蛍光染色し,観察した.細胞接着分子の発現は,培養3日後のICAM-1の発現について比較検討を行った.結果:細胞増殖は,すべての培養時間で実験群はコントロール群に比べて有意に高かった.細胞遊走は,すべての培養時間でネガティブコントロール群よりも有意に高く,ポジティブコントロール群とほぼ同様の結果となった.三次元培養においては,実験群はコントロール群に比べて細胞突起の発生が顕著であった.ICAM-1の発現について,実験群はコントロール群に比べて有意に高かった.結論:これらの結果から,EMD由来の合成ペプチドは歯周組織再生の過程でみられる硬組織の分化誘導過程の栄養供給に関与する,ヒト微小血管内皮細胞の増殖・遊走・管腔の形成および細胞接着分子の遺伝子発現を促進することが示唆された.

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© 2013 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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