日本歯科保存学雑誌
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原著
中性からアルカリ性のEDTAを用いた場合の象牙質スミヤー層除去効果
後閑 由香水上 英子谷 千尋真鍋 厚史
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2014 年 57 巻 2 号 p. 137-144

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抄録

 目的 : コンポジットレジンの象牙質に対する良好な窩洞適合性を獲得するためには, ボンディング処理に先立ち, 窩壁に形成されるスミヤー層を0.5mol/l (pH 7.4) EDTA溶液を用いて完全に除去し, 35vol% Glyceryl mono-methacrylate水溶液を用いてプライミングを行うことが必要不可欠である. 中島らは, アルカリ性のEDTA溶液を用いることで, self-limiting効果を軽減し, 低濃度のEDTA溶液でもスミヤー層が除去できることを報告している. そこで今回の研究では, 3種類の異なるpHに調整した試作EDTA溶液を用いて歯面処理を行った際のスミヤー層の除去効果を, 象牙質硬さの計測および窩洞適合性試験を行うことで評価を行った.
 材料と方法 : 本研究で用いたヒト抜去歯は, 昭和大学歯学部医の倫理委員会 (承認番号 ; 2011-016号) の承認を得て使用した. 試作EDTA溶液は水酸化ナトリウムを用いて滴定し, pHが8.0, 10.0, および12.0となるように調整を行った. 各試作EDTA溶液を作用させた後の象牙質平面のビッカース硬さの計測, 窩洞適合性試験, 電子顕微鏡を用いた微細構造の観察を行った. ビッカース硬さの計測は20秒間15gの荷重を負荷した. 窩洞適合性試験では, ヒト抜去歯の象牙質に, 直径3.0mm, 深さ1.5mmの円柱窩洞を形成し, 各EDTA溶液で処理後, プライミングおよびボンディング処理を行い, コンポジットレジンを塡塞硬化させ, 窩縁に生じるコントラクションギャップの計測を行った. また, 日立社製走査型電子顕微鏡S-4700を用いて観察を行った. なお, コントロールとして0.5mol/l, pH7.4を示すE-Lize Conditionerを用いた.
 成績 : 各EDTA溶液で処理を行った際のビッカース硬さの計測値は, すべての試片群で統計学的有意差は認められなかった. 窩洞適合性試験では, pH7.4とpH8.0で完全な窩洞適合性が認められた. 電子顕微鏡を用いた観察では, pH7.4とpH8.0で象牙質表層のスミヤー層が完全に除去されていたのに対し, pH10.0とpH12.0では象牙質表層, 象牙細管内に残存が確認された.
 結論 : 象牙質に対して良好なコンポジットレジンの接着を獲得するための0.5mol/l EDTAの至適pHは, pH7.4から8.0であることが確認された.

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