日本歯科保存学雑誌
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原著
Optical Coherence Tomographyによるホワイトニング前後のエナメル質観察
松尾 涼子真鍋 厚史細川 真弓鹿熊 秀雄
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2014 年 57 巻 2 号 p. 145-153

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抄録

 緒言 : 近年, 白くて美しい歯は人々のQOLの向上には欠かせない要因となり, 審美歯科に対する関心の高まりとともにホワイトニングを希望する患者も増加してきている. ホワイトニング剤の歯質に対する影響はいまだ不明な点が多く, ホワイトニング剤によりエナメル質を保護するペリクルは除去され, エナメル質表面になんらかの影響を及ぼしていると考えられている. そこで, 本研究では, オフィスホワイトニング処置前後の歯質の変化を経時的に観察し, ホワイトニング後の評価項目として測色だけでなく, 非侵襲性の光干渉断層装置 (Swept-Source Optical Coherence Tomography, 以下, SS-OCT) を用い, 新たな評価法の検討を目的とした.
 材料と方法 : 試料はヒト抜去歯を合計14本用いた. 歯冠部歯質を近遠心中央部で二等分し近心側をTreatment側, 遠心側をControl側とした. なお, 本研究で使用した抜去歯は本学歯学部医の倫理委員会の承認を得たものである (承認番号2011-035号). 歯面清掃後ShadeEye NCC (松風) にて測色し, 吉田製作所製試作SS-OCTを用いてホワイトニング処置前の試験面を唇側から撮影した. オフィスホワイトニング剤には35%過酸化水素を主成分とするShofu Hi-lite (松風) を使用し, 使用説明書の術式に準じTreatment側のホワイトニング操作を行った. Control側は試験期間中37℃の水中に保管した. ホワイトニング処置後, ShadeEyeNCCにて試料の測色と, SS-OCTを用いてホワイトニング処置前と同部位の試料撮影を行った. またSEM (s-4700, Hitachi) による観察を行った.
 成績 : SS-OCTを用いたホワイトニング処置前後のエナメル質の観察において, ホワイトニング処置後の光反射強度はエナメル質表層で強くなる傾向を示し, エナメル質内部では光透過性が亢進する傾向が得られた. ホワイトニング前後のShadeEye NCCを使用して得られたL* a* b*からΔE*abを算出したところ, ホワイトニング前後で有意差が認められた (p<0.05). また, SEM像ではホワイトニング前後で変化が認められなかった.
 結論 : ホワイトニング前後の光反射強度に変化がみられたことから, SS-OCTは, ホワイトニング後の評価法として測色に加え, 歯質表層ならびに内部の構造など多くの情報が得られる可能性が示唆された.

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