日本歯科保存学雑誌
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原著
揮発性硫黄化合物吸着材の金銀パラジウム合金に対する変色抑制効果
藤井 和夫長谷川 義明村上 幸孝土井 豊横川 善之堀田 正人
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2014 年 57 巻 3 号 p. 229-238

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抄録

 目的 : 金銀パラジウム合金を用いた修復物は, 揮発性硫黄化合物 (Volatile Sulfur Compounds, 以下, VSC) 産生量の多い患者の口腔内で変色を生じることが知られている. 一方, VSCを吸着する材料 (VSC吸着材) として, Zeolite A, Hydrotalciteが新素材として研究されている. そこで本研究では, VSC産生菌による金銀パラジウム合金への変色の影響とVSC吸着材 (Zeolite A, Hydrotalcite) の変色抑制効果について検討した.
 材料と方法 : 金銀パラジウム合金を3種類の歯周病原性菌 (Porphyromonas gingivalis, Prevotella intermedia, Fusobacterium nucleatum) と1種類の齲蝕原性菌 (Streptococcus mutans) を加えたBHI培地 (L-システイン添加) に入れ, 37℃で嫌気培養を4週間行った. また, VSC吸着材を加え, 培養したものも同時に作製した. 培養後, 各修復材料の光沢度・色彩の測定を行った.
 成績 : 金銀パラジウム合金の光沢度は, 4菌種とも培養後に低下したが, VSC吸着材を加えることにより有意に低下が抑制された. 色彩変化も培養後に認められたが, VSC吸着材を加えることにより色差が小さくなる傾向がみられ, P. gingivalis培養後にZeolite Aを加えた場合に有意に変色が抑制された.
 結論 : 供試細菌は金銀パラジウム合金の光沢度の低下と変色を生じさせた. また, 供試したVSC吸着材は口腔内細菌のVSCを吸着し, 金銀パラジウム合金の変色を抑制することが示唆された.

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