日本歯科保存学雑誌
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原著
Er: YAGレーザー照射象牙質に対するレジン添加型グラスアイオノマーセメントの接着性について
鶴田 あゆみ成橋 昌剛掘江 卓松井 治冨士谷 盛興千田 彰
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2014 年 57 巻 4 号 p. 313-324

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抄録

 目的: 痛みを生じない程度の低出力でEr: YAGレーザー照射した象牙質面には, 構造欠陥や熱変性層が形成されレジンの接着性は低下するが, レジン添加型グラスアイオノマーセメント (RMGI) の接着性は照射出力にかかわらず安定しており, レジンボンディング材のような低下はないという報告がある. 本研究は, Er: YAGレーザー照射象牙質に対し良好な接着性を示すレジン接着システムの開発を目的に, 各種条件で照射した象牙質面に対するRMGIの接着性について, レジンボンディング材と比較検討した.
 材料と方法: 新鮮抜去ウシ前歯唇側根面部に調製した象牙質平坦面に, Er: YAGレーザーにより低出力照射 (50 mJ/1 pps), 中出力照射 (150 mJ/1 pps) およびフィニッシング照射 (50 mJ/1 pps照射後150 mJ/1 ppsで仕上げ照射) した. 次いで, これら照射面ならびに非照射面を, G-Bond Plus (G群), Self-Conditioner/Fuji Lining Bond LC (FLB群), およびSelf-Conditioner/Fuji Lining LC (FL群) で処理した後Clearfil AP-Xを塡塞し, 微小引張接着強さを検討した (Dunnetの多重比較検定, FisherのPLSD法, p=0.05). また, 接着試験後の破壊形態 (実体顕微鏡), および接合界面の様相 (SEM) も検討した.
 結果: G群では, いずれの照射条件でも非照射の場合より有意に低い接着強さを示した. FLB群およびFL群では, 低出力照射の接着強さはいずれも非照射の場合より低かったが, 中出力ならびにフィニッシング照射の接着強さは非照射とほぼ同等であった. また, G群では界面破壊あるいはレジンボンディング材と象牙質の混合破壊がほとんどで, 変性層からレジンボンディング材にわたる亀裂が多くの試料で観察されたが, FLB群とFL群ではいずれもRMGIと象牙質の混合破壊あるいはRMGI内凝集破壊であり, 照射面との接合状態はほぼ良好でRMGI内に亀裂が特徴的に観察された.
 結論: Er: YAGレーザー照射した象牙質において, RMGIは接着界面における歪みの集中が緩和され安定した接着性を示すことが明らかとなり, レーザー照射象牙質に対するレジン接着システムとしてRMGIを用いることの有用性が判明した.

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© 2014 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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