日本歯科保存学雑誌
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原著
温度感応性ポリマーにrhBMP-2を配合して移植した場合の異所性骨形成
齋藤 恵美子齋藤 彰渋川 義宏弓削 文彦川浪 雅光
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2014 年 57 巻 6 号 p. 484-491

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抄録

 目的 : bone morphogenetic proteins (BMPs) は, 担体に配合して移植した後, ラットで異所性の骨形成を誘導したと報告されている. Thermoreversible gelatin polymer (TGP) は温度感応性高分子と親水性高分子との共重合体よりなる合成素材であり, 室温以下ではゾル状であるが, 体温付近ではゲル化する性質をもつ. 本研究の目的は, TGPがBMPの担体として有効であるか検索することである.
 方法 : 本実験動物にはWistar系雄性ラット (8週齢) 10匹を用いた. 各ラットの背部皮下に4つの移植部位を作製して, 以下の移植材を移植した.
 1. 実験群 (N=20) : rhBMP-2 (5μg) を配合したTGPゲル (配合比0.06μg/μl ; 直径10mm) に整形した.
 2. 対照群 (N=20) : rhBMP-2を配合しない直径10mmのTGPゲルに整形した.
 両群の観察期間を4週および8週に分けた (各N=10). 試料は脱灰後に分割して, 内面の移植材を10°Cの脱灰液にて水洗した後, 病理標本を作製し, Goldner's Masson trichrome染色を行って病理組織学的観察を行った.
 結果 : rhBMP-2を配合して移植した実験群では, 観察期間4, 8週いずれの群も移植材表面に沿って硬組織形成が認められ, 担体の内部に向かって結合組織および硬組織形成がほとんど認められなかった. TGPのみの対照群では観察期間4, 8週いずれの群もTGP周囲に炎症性細胞をほとんど認めず, 骨形成も認められなかった. また, 全試料のTGPは水洗の際にゾル状になり, 短時間に流出したため, すべての標本でTGPの残存は認められなかった.
 結論 : 本研究の結果から, このTGPは移植後も温度感応性の性質を維持することが示唆された. さらに, TGPとrhBMP-2を組み合わせて移植を行うと, 移植材周囲に異所性の骨形成が認められ, さらに形成骨は観察期間8週まで吸収されずに維持されることが示唆された.

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© 2014 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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