日本歯科保存学雑誌
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原著
ストロンチウム含有試作生体活性ガラスの骨形成能の病理組織学的検討
泉 利雄丸田 道人板家 圭祐水上 正彦松本 典祥畠山 純子中山 英明松家 茂樹阿南 壽
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2014 年 57 巻 6 号 p. 492-501

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抄録

 目的 : 生体活性ガラスbioactive glass (以下, BAG) は, in vitroでは骨芽細胞の活性を高めるとされているが, 骨髄腔の乏しいラットの頭頂骨での骨形成促進能は示されていない. ストロンチウム strontium (以下, Sr) は, 前骨芽細胞の骨芽細胞への分化を促進, 活性化する一方で, 破骨細胞の分化とその働きを抑制し, 骨形成促進作用を示すとされている. そこでわれわれは, BAGにSrを添加することでBAGの骨形成能を促進することを考え, Srを含有するBAGを試作し, その生体親和性と骨形成能を検討した.
 材料と方法 : SiO2 53 wt%, CaO 20 wt%, Na2O 23 wt%, P2O5 4 wt%の組成のガラス (Sr0) およびSr0のCaOの20 wt%をSrOで置換したガラス (Sr20) をおのおの合成した後, 直径10mm, 厚さ1mmのディスクと粒径250~300μmの粉末を得た. ラットの背部皮下にディスク状BAG, 対照としてディスク状ハイドロキシアパタイト (以下, HAP) を埋入し, 1カ月後にパラフィン包埋しHematoxylin-Eosin染色 (以下, HE染色) 標本を作製, 光学顕微鏡で鏡検した. ラットの頭頂部に直径8mmの骨欠損を作製後, Sr0およびSr20粉末を埋入した. 何も埋入しないものを対照群とした. 術後1, 3カ月および6カ月に屠殺し, パラフィン包埋しHE染色標本を作製, 光学顕微鏡で鏡検した.
 成績 : Sr20およびSr0は, HAPと同様の良好な生体親和性を示した. 対照群の術後6カ月では, 欠損内には新生骨形成を認めなかった. Sr0群の術後6カ月では, BAG粒子は密な線維性結合組織で囲まれており, 粒子周囲に新生骨の形成を認めなかった. Sr20群の術後6カ月では, BAG粒子は著しく溶解し, 対照群とSr0群と比べ欠損内の新生骨量が有意に増加した. BAG粒子の断面積は, Sr0群の6カ月例と比べ有意に減少していた. Srの添加によりBAGの溶解度は増し, 放出されたSrイオンが骨形成を促進した可能性が推察された.
 結論 : Srを含有したBAGは, 骨補塡材として良好な生体親和性を示すとともに骨形成を促進する可能性があることが示唆された.

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