日本歯科保存学雑誌
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原著
T細胞は外傷性咬合で起こる骨吸収に関与しない
中村 弘隆鵜飼 孝吉永 泰周白石 千秋吉永 美穂吉村 篤利原 宜興
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2015 年 58 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

 目的 : 歯周病原細菌の感染と外傷性咬合は歯周炎の原因である. 炎症が起これば, 歯槽骨の吸収が誘導される. 当教室はこれまでマウス歯周組織へのLPS誘導性骨吸収におけるT細胞の関与について検討しており, T細胞が炎症性骨吸収促進に大きく関与することを報告した. 一方, 外傷性咬合によって誘導された骨吸収におけるT細胞の関与についてはまったく不明である. そこでin vivoにおいてT細胞が外傷性咬合時の破骨細胞形成に関与しているのかを検討するため, 正常ラットならびにT細胞が欠損しているヌードラットに, 外傷性咬合を付与したときの破骨細胞出現を組織学的に比較検討した.
 材料と方法 : 正常ラットに3日あるいは5日間, ヌードラットに3日間外傷性咬合を与えた後の根間中隔を病理組織学的に観察し, 破骨細胞の指標であるTRAP陽性細胞数とCD4陽性細胞数を計測した.
 結果 : 正常ラット, ヌードラットともに咬合性外傷付与後3日で根分岐部の骨吸収が認められたが, 統計学的に破骨細胞数の有意な差異は観察されなかった. また正常ラットに外傷性咬合を5日間付与したときの骨破壊において, CD4陽性T細胞の浸潤は認められなかった.
 結論 : 外傷性咬合による骨吸収初期においては, T細胞の影響は少ないと考えられる.

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© 2015 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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