日本歯科保存学雑誌
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原著
保管期間によるワンステップボンディング材の変性
藤田 光関根 (加藤) 哲子岡田 珠美伊東 哲明内山 敏一西山 典宏平山 聡司
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2015 年 58 巻 5 号 p. 398-405

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抄録

 目的 : ワンステップボンディング材は保管期間や保管温度により, 歯質に対する接着強さが低下する傾向がある. 本研究は, 歯質に対する接着強さの低下を引き起こすワンステップボンディング材の変性メカニズムを調べるために, ワンステップボンディング材に含まれる機能性モノマーの加水分解について, 核磁気共鳴法 (13C NMR法) と接着強さを用いて検討した.
 材料と方法 : ワンステップボンディング材としてG-BOND PLUS (G-BP) を使用し, これを0, 3, 7週間および14週間40°C恒温槽中に保管してNMRの試料とした. 13C NMRの試料は, G-BP 300mgとジメチルスルホキシド250mgをNMR管に精秤し, 振盪・攪拌して13C NMR法により解析した. また, 保管期間の同じ試料を用いて, エナメル質および象牙質のせん断接着強さの測定も行った.
 結果 : G-BPを40°Cに保管すると, メタクリル酸のカルボキシル基カルボニルカーボンおよびエチレングリコールのメチレンカーボンに帰属されるNMRピークが検出され, 保管時間が長くなるに従い, それらのNMRピーク強度は増大した. またトリメリット酸のカルボキシル基カルボニルカーボンに帰属されるNMRピークも検出された. G-BPを14週間40°Cで保管すると, 4-METのエステル基が加水分解し, メタクリル酸, エチレングリコールおよびトリメリット酸が生成され, 4-METのメタクリロキシエステル基は13.76%分解した. エナメル質の接着強さは, 保管期間0日の場合17.20MPaであったが, 保管期間が長くなるにつれて接着強さは低下し, 保管期間14週間では12.33MPaまで低下した. また象牙質でも同様に, 保管期間が長くなると接着強さは15.36MPaから11.61MPaまで低下した. 歯質に対するレジンの接着強度は, ワンステップボンディング材中の4-METが保管期間の延長とともに加水分解が進行して変性し, 接着強さが低下した.
 結論 : 歯質に対するレジンの接着強さは, ワンステップボンディング材の保管期間の延長により, 機能性モノマーの変性に起因することがわかった.

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© 2015 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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