日本歯科保存学雑誌
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原著
日本人の上顎第一・第二大臼歯のMulti-detector CT撮像からの歯根ならびに根管形態の分析
中澤 弘貴馬場 俊晃辻本 恭久
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キーワード: 日本人, MDCT, 歯根癒合, 根管形態
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2015 年 58 巻 5 号 p. 406-415

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抄録

 目的 : 根管治療を成功に導くためには, 歯根と根管の解剖学的特徴を理解することが重要である. 医療用CTを用いて三次元的形態を把握しながら治療を行うことは, 根管治療の成功率の向上に大きく貢献すると考える. 本研究では, 日本人の上顎第一大臼歯 (M1) および上顎第二大臼歯 (M2) の歯根, 根管の形態を分析することとした.
 材料と方法 : 2010年1月から2014年3月までの期間に日本大学松戸歯学部付属病院を受診した, 20歳から29歳の日本人 (合計443名, うち男性220名, 女性223名) のM1, M2のmulti-detector CT (MDCT) 画像を試料とした. 原則として左側歯を用いたが, 欠損や齲蝕による歯冠崩壊, 充塡物や補綴物による障害陰影のある場合は右側歯を用いた. MDCT画像から歯根を観察, 分析し, さらにVertucciの報告に従い近心頰側根 (MBR), 遠心頰側根 (DBR) と口蓋根 (PR) の根管形態を分析し, 分類した.
 結果および考察 : 歯根数はM1で3根が男女ともに約95%観察された. 歯根の癒合率は, M1とM2を比べるとM2が高かった (p<0.01). M2では癒合根が男性約33%, 女性約53%であり, 女性は男性と比べ歯根の癒合率が高かった (p<0.01). M2においてはインド (26.8%), 中国 (18.0%), 韓国 (24.73%), ブラジル (20.6%) の集団と比較して高い割合で歯根の癒合が起こることが示唆された. Vertucciの分類結果から, M1のMBRでは根管が分岐しないⅠ型は, 男性34.1%, 女性36.7%, M2では男性, 女性ともに約70%観察された. M2と比べてM1ではMBRの2根管の割合が高かった (p<0.01). MBR 2根管の形態では, 根管が合流せず, 2根尖孔存在する形態のものが最も多く検出された. DBR, PRではほとんどがⅠ型の1根管であった.
 結論 : 歯内治療を成功に導くためにCTを使用し, 患歯の歯根・根管形態を理解することが重要である. MBRの2根管の存在を意識したアクセスキャビティーが必要である.

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© 2015 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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