日本歯科保存学雑誌
Online ISSN : 2188-0808
Print ISSN : 0387-2343
ISSN-L : 0387-2343
原著
新規チオリン酸エステルモノマー配合ワンステップボンディング材の象牙質接着能評価
松本 真理子峯 篤史三浦 治郎東 真未川口 明日香矢谷 博文
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 58 巻 6 号 p. 474-481

詳細
抄録

 目的 : 近年, レジン系歯科接着材料の進歩により操作ステップを簡略化したワンボトルのセルフエッチングシステムが開発され, 臨床の場に普及している. さらに最近になって, さまざまな被接着体に対して同一のボンディング材が使用できるシステムが開発され, 臨床でも多用されるようになってきている. しかしながら, これらのいわゆるユニバーサルタイプの接着能を従来の1ステップセルフエッチングシステムと比較して吟味した報告は少ない. そこで, 本研究では新規チオリン酸エステルモノマーを配合したユニバーサルタイプボンディング材の象牙質接着能について, 透過型電子顕微鏡 (以下, TEM) 観察および微小引張接着 (以下, μTBS) 試験により, 従来のワンステップボンディング材と比較検討した.
 材料と方法 : 20歯のヒト抜去第三大臼歯象牙質平滑面を被着面とした. 2種類のボンディング材 (G-BOND PLUS : 以下, GPLおよびG-Premio BOND : 以下, GPR, ジーシー) を業者指示に従って塗布し, 8歯に対しプロテクトライナーF (クラレノリタケデンタル) を築盛したものをTEM用試料とし, 12歯に対しクリアフィルAP-X (クラレノリタケデンタル) を築盛したものをμTBS用試料とした. それぞれ37°C水中保管の後, TEM用試料はそのままエポキシ包埋したものを非脱灰試料とし, 10%EDTAにて脱灰した後に包埋したものを脱灰試料とした. 重合後に70~90nmに薄切し, 観察を行った. μTBS用試料は1×1mmのスティック状に切り出した後, クロスヘッドスピード1.0mm/minにてμTBS試験を行った.
 結果 : TEM観察では, 非脱灰切片にてGPL, GPRともに接着界面にハイドロキシアパタイト結晶が残存しているのが確認された. 脱灰切片ではGPL, GPRともにレジンが象牙質に浸透している樹脂含浸層が明瞭に観察された. 引張接着強さに関しては, GPLが41.35±15.24 MPa (平均±標準偏差), GPRが44.09±12.83 MPa (平均±標準偏差) であり, 2群間に有意な差は認められなかった (p>0.05).
 結論 : ユニバーサルタイプの新規ワンステップボンディング材では, 象牙質接着において既存のワンステップボンディング材と同等の性能を示し, チオリン酸エステル系モノマーの添加による歯質接着能の低下は確認されなかった.

著者関連情報
© 2015 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
前の記事 次の記事
feedback
Top