2016 年 59 巻 1 号 p. 40-46
目的 : 口腔内で直接行うファイバーポストとコンポジットレジンによる支台築造時の根管内深部における未重合コンポジットレジンの存在が指摘されている. 今回, ファイバーポストの芯材として光ファイバーを用いたファイバーポスト・コンポジットレジン支台築造システムを用い, ファイバーポストの導光性や光照射角度の違いが根管内深部のコンポジットレジンの重合に与える影響を検討した.
材料と方法 : 遮光した人工根管に光重合型レジンを充塡後, 光ファイバーあるいはステンレススチールを芯材とする2種類のファイバーポストを挿入し, 光照射器の角度がポスト軸方向に対して0, 30, 60, 90度の位置から光照射を30秒間行い, 各群におけるコンポジットレジンの重合深度と重量を測定した.
成績 : 芯材が光ファイバーであるファイバーポストは, 芯材がステンレスワイヤーであるファイバーポストと比較して人工根管内での根尖側における十分なレジン重合量が観察された. また, 光ファイバーを芯材としているファイバーポストでは, 光照射角30度においても根管内深部におけるコンポジットレジンの十分な重合が認められた.
結論 : 光ファイバーを芯材として用いたファイバーポストは, 根尖部ポスト周囲のコンポジットレジンの重合に効果的であることが示唆された.