日本歯科保存学雑誌
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原著
レーザー高吸収体配合齲蝕検知液を併用したEr : YAGレーザーによる齲蝕の選択的除去
吉川 一志保尾 謙三森川 裕仁井村 和希古澤 一範三浦 樹平井 千香子小正 玲子谷本 啓彰岩田 有弘粟津 邦男山本 一世
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2016 年 59 巻 3 号 p. 259-265

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抄録

 目的 : 齲蝕治療に関して歯の削除量を減らすために, 齲蝕検知液の改良や齲蝕を選択的に削除する器機の開発が行われてきた. われわれはEr : YAGレーザー (レーザー) の吸収率を向上させる第1級アミノ基を有する化合物 (HLA) を配合した齲蝕検知液を試作し, レーザーによる, 染色した人工齲蝕象牙質に対する除去効率を検討した.
 材料と方法 : HLAを1.0, 2.0, 4.0%配合した無色と緑色の試作齲蝕検知液を作製した (日本歯科薬品株式会社研究所). なお, 緑色の色素は「食用青色1号 (ブリリアントブルー) 」と「食用黄色4号 (タートラジン) 」を混合して作成した. 齲蝕検知液へのレーザー高吸収体の最適な配合量とEr : YAGレーザーの出力, 削除量とを検討するために, 実験を行った.
 成績および結論 : HLA配合齲蝕検知液はレーザーの吸収率を増加させ, またレーザーによる窩洞形成の深さおよび除去体積量ともに増加させる効果が認められたことから, レーザー高吸収体配合齲蝕検知液を使用することにより, レーザーによる選択的齲蝕除去の可能性が示唆された.

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© 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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