日本歯科保存学雑誌
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原著
九州歯科大学附属病院保存治療科を受診した患者の確定時診断からみた歯内療法の現状
鷲尾 絢子高倉 那奈伊東 優宮原 宏武花田 可緒理浦田 真梨子松山 篤史藤元 政考大塚 麻衣中川-吉居 愛加市丸-末松 美希西藤 法子吉居 慎二平田-土屋 志津永吉 雅人西野 宇信諸冨 孝彦北村 知昭
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2016 年 59 巻 4 号 p. 343-350

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抄録

 目的 : これまでにわれわれは地域歯科医療との連携を目的として, 当科に来院した新患の治療開始前の診断 (初診時診断) に関する調査を行ってきた. 今回, より正確な分析を行うため, 当科を受診しマイクロスコープなどを用いた診断から治療のプロセスを経た結果としての最終的な診断 (確定時診断) を用いて, 症状および処置内容の関連性を調査した.

 材料と方法 : 2011年度から2013年度の3年間に九州歯科大学附属病院保存治療科を受診した初診患者で治療が終了した651名のなかから, 不可逆性歯髄炎 (Pul) あるいは根尖性歯周炎 (Per) の確定時診断名がついた382名439歯を調査対象とし, 診断内容, 年齢, 歯種, 紹介率, 処置内容について調査した.

 結果 : 診断名がPul, Perであった症例の割合は, 初診時および確定時診断の間で大きな差はなかった. 年齢構成はPul症例で20歳代 (26.6%), Per症例で60歳代 (21.3%) が最多であり, 歯種別ではPul, Per症例ともに下顎大臼歯部が最多であった. Pul, Per症例の紹介患者数は全体の半数以上の割合を占めていた. またPer患者では再歯内治療の割合が多かった.

 結論 : 以上の結果は, 一般歯科の高頻度治療の一つである歯内治療においても大学附属病院のような第二・三次医療機関が重要な役割を果たしていること, 再歯内治療の割合を抑制することが歯科医療のレベルを向上させるうえで喫緊の課題であること示している.

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