日本歯科保存学雑誌
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症例報告
生活大臼歯の抜髄処置により改善した頰の紅斑性病変
林 善彦井川 一成杉本 浩司栁口 嘉治郎山田 志津香
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2016 年 59 巻 5 号 p. 444-449

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抄録

 目的 : 外歯瘻は, 根尖性歯周炎後に二次的に形成されるものである. 根尖性歯周炎は, 歯髄炎, 歯根破折, あるいは歯の外傷後に発症する. この根尖性歯周炎は, 皮膚病変の発症にも影響するが, 一般に原因歯は失活歯であることが多い.

 症例 : 今回, 完全埋伏智歯の抜去後に生じた頰部の紅斑性病変を有する症例を報告する. 歯原性を疑った皮膚病変は, X線検査のほか磁気共鳴映像法 (MRI) を用いて診査された. 処置として下顎左側第一・第二大臼歯の抜髄と根管治療を施し, 頰の紅斑性病変の改善を認めた.

 結論 : MRIは, 非侵襲的な優れた診断技術である. これによって, 骨や軟組織に生じる感染性化膿性病変の進行を確認できる. 本症例の原因歯は生活しており, また瘻孔も存在しなかったため, 典型的な外歯瘻様病変ではなかったが, 抜髄と根管治療によって頰の紅斑性病変は改善できた.

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