2017 年 60 巻 1 号 p. 14-21
目的 : 感染根管治療等の再歯内治療では, 根管内にある充塡材を除去し根尖孔を穿通する必要がある. 本研究では, 新規に開発したバイオガラス配合シーラー (以下, BG配合シーラー) を用いた根管充塡の除去性と根尖孔穿通の可否を検討するとともに, 再根管形成・洗浄後の根管象牙質の状態を分析した.
材料と方法 : ヒト抜去歯にBG配合シーラーおよび既存の各種シーラー (ユージノール系・非ユージノール系・バイオセラミック系) を用いて根管充塡を行い, 4週間後にガッタパーチャポイント除去器具で充塡材を除去した. 除去時に器具が作業長に到達する時間を測定するとともに, 根尖孔穿通の可否を確認した. さらに, 再根管形成・洗浄した被験歯根管壁の状態を電界放射型走査電子顕微鏡 (以下, FE-SEM) で分析した.
成績 : 除去性試験では, 既存の根管充塡用シーラー同様, BG配合シーラーを用いた充塡材の除去および根尖孔穿通は可能であった. 再根管形成・洗浄後のFE-SEM観察では歯冠側および中央部根管の象牙細管は開口していたが, 根尖側では既存のシーラーを用いた場合と同様に象牙細管開口は非常に少なかった.
結論 : 根管充塡用シーラーとして適切な物性を有するBG配合シーラーは, 硬化後も根管内からの除去が可能であった. 以上の結果は, BG配合シーラーを用いた根管充塡歯に対する再歯内治療が可能であることを示唆している.