日本歯科保存学雑誌
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フィラー表面のシランカップリング処理がコンポジットレジンの色調安定性に及ぼす影響
井出 翔太郎山口 麻衣田中 智久マイケル マイヤース東光 照夫真鍋 厚史
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2017 年 60 巻 2 号 p. 78-88

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抄録

 目的 : 今回シラン処理 (SC (+)) と未処理 (SC (−)) フィラーの試作コンポジットレジンを用いて, 色調安定性および表面性状に及ぼすシランカップリング処理の影響を検討した.

 材料と方法 : 試作コンポジットレジンをステンレスモールドリングに塡入して光照射を行い重合させ, 計80個の試験片を作製した. 試験片は耐水研磨紙#600, #1,000, #1,500, #4,000で研磨後, 酸化アルミナ粉末とバフにより鏡面研磨を行った. 40個の試験片はローダミンに浸漬した状態で, 5~60°Cを1サイクルとして係留時間30秒間で1,000回と10,000回サーマルサイクル試験を行った. 残りの40個の試験片はローダミン0.01%水溶液に24, 48, 72時間, 7日間浸漬した. サーマルサイクルおよび浸漬前後, 測色器にて測色を行い, 不透明度とΔE*abを算出した. 表面粗さの計測は接触型表面粗さ計にて中心線平均表面粗さ (Ra) を算出した. 吸水量は, 試験片の初期重量に対する重量変化の百分率を算出し吸水量とした. 走査型電子顕微鏡にて表面性状の観察を行った.

 結果 : ΔE*ab, 表面粗さ, 吸水量はSC (+) と比較し, SC (−) が有意に高い値を示した. 不透明度は浸漬時には未処理群と処理群間に有意差は認められなかったが, サーマルサイクル後には両者に有意差が認められた.

 考察 : SC (−) はサーマルサイクルによるマトリックスレジンとフィラーの不完全な接着の劣化により間隙が生じ, この間隙から吸水し, マトリックスレジン中に色素が拡散することで, 内部に色素が浸透し着色したと考えられる.

 フィラー表面のシランカップリング処理がコンポジットレジンの色調安定性に影響を及ぼすことが判明した.

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