日本歯科保存学雑誌
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原著
歯科用チェアユニット給水管路の細菌汚染に対する衛生管理の取組み
―ショックトリートメントおよびフラッシングの併用効果―
中野 雅子高尾 亞由子前田 伸子細矢 哲康
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2017 年 60 巻 6 号 p. 306-312

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抄録

 目的 : 鶴見大学歯学部附属病院では歯科用チェアユニット (以下, ユニット) の汚染対策として, ユニット給水管路 (以下, DUWL) の化学的洗浄としてショックトリートメントを行ってきた. 本研究の目的は, DUWLのユニット部材に影響が少なく, 短時間の1回処理で効果が高く, かつ持続性を有する洗浄液を検索することである. また, フラッシング操作の重要性についても再考する.

 材料と方法 : ショックトリートメントの洗浄液として, 500ppmならびに10,000ppm次亜塩素酸ナトリウム溶液 (NaClO) および微酸性次亜塩素酸水 (SAW) を用いた. ユニット部材への洗浄液の影響を検索するために, 各被験洗浄液へ真鍮円板を浸漬し, 表面性状の変化を観察した. DUWLの洗浄効果は, ショックトリートメント直後から1, 2, 4, 6, 10週 (一部は3, 7週) まで, 休診日翌日の使用前およびフラッシング後にユニット水を採取し, 遊離残留塩素濃度と従属栄養細菌数の測定を継続した. また, ショックトリートメント前における滞留水の遊離残留塩素濃度と従属栄養細菌数を測定した.

 結果 : 真鍮円板を洗浄液に半浸漬した場合, 気相-液相界面の変色が一部円板に認められた. DUWLにおいて, ショックトリートメント実施前の滞留水の遊離残留塩素濃度は, すべてのユニットで水道法第22条に基づく水道法施工規則で定められた下限0.1ppm未満であった. フラッシングによって回復するものの, 基準値に戻るまでフラッシングを繰り返す必要のあるユニットもあった. 滞留水の遊離残留塩素濃度と従属栄養細菌数には, 有意に負の相関性が認められた. 滞留水に比べフラッシング後のユニット水では, 遊離残留塩素濃度の有意な上昇および菌数の対数値の有意な減少を示した. 500ppmならびに10,000ppm NaClOによるショックトリートメントを実施し, 遊離残留塩素濃度が水道水質管理目標値上限の1ppmを下回るまでフラッシングした後のユニット水からは, 従属栄養細菌は検出されなかった. すべてのユニットで洗浄2週後には, 滞留水の従属栄養細菌数が水道水質管理目標値上限2,000CFU/mlを超過した. フラッシング後のユニット水が2,000CFU/mlを上回ったのは, SAWの3週, 500ppm NaClOの7週であった. 10,000ppm NaClOで洗浄した場合は, 10週まで2,000CFU/ml以下であったが, 浸漬実験では真鍮への影響が大きいと思われた.

 結論 : 歯科用チェアユニット給水管路のショックトリートメントに有用な洗浄液は, 真鍮への影響が小さい500ppm NaClOであることが示唆された. またフラッシングは, 従属栄養細菌数の減少に有効である.

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© 2017 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
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