日本歯科保存学雑誌
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原著
ラット人工的歯周組織欠損部の早期創傷治癒過程における新規合成ペプチドとエナメルマトリックスデリバティブの影響の比較検討
三木 晴加富永 和也高橋 貫之田中 昭男梅田 誠
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2018 年 61 巻 1 号 p. 17-29

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抄録

 目的 : 歯周組織再生材料として, 広く利用されているエナメルマトリックスデリバティブ (EMD) を用いた動物実験によって, アメロジェニンエクソン5の部分配列に一致する物質が同定されている. それに注目した研究者らは, 同アミノ酸配列をもつペプチドを人工的に合成し, 歯周組織再生に対するそのペプチドの有効性をin vivoおよびin vitroで研究してきた. しかし, in vivoの実験でペプチドとEMDとの比較については未解明である.

 材料と方法 : ラットの上顎臼歯部に人工的に歯周組織欠損を作製し, 歯周組織欠損部に新規合成ペプチド (新規合成ペプチド群) とEMD (EMD群) をそれぞれ塗布した. 術後3, 5日および7日目に同部の標本を作製し, 病理組織学的および抗Ⅲ型コラーゲン抗体を用いて免疫組織化学的に観察した.

 成績 : 術後3日目の病理組織所見では, 対照群, 新規合成ペプチド群およびEMD群は同様の所見であったが, 術後5日目の新規合成ペプチド群とEMD群における歯周組織欠損部の血餅は消失していたのに対し, 対照群では血餅が残存していた. 鍍銀染色では術後7日目に, 新規合成ペプチド群とEMD群の両群で周囲に細網線維をもつ骨様石灰化物が認められた. 免疫組織化学的に観察するとⅢ型コラーゲンは, 新規合成ペプチド群とEMD群の両群では対照群と比べて早期に発現し, かつ減弱していた. 術後5日目および7日目の新規合成ペプチド群とEMD群の両群における付着上皮の深部増殖抑制率は, 対照群に比べて有意に抑制された.

 結論 : 新規合成ペプチドはEMDと同様に歯周組織における早期の創傷治癒過程を促進し, 再生を促す作用があることが示唆される.

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