日本歯科保存学雑誌
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原著
楕円根管における回転および手用切削器具の切削効率の評価
吉田 和貴前田 宗宏勝海 一郎五十嵐 勝
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2018 年 61 巻 1 号 p. 30-39

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抄録

 目的 : 本研究は, 上顎歯列模型の左右にヒト抜去上顎小臼歯を植立し, 口腔内を模すためファントム上で, ニッケルチタン製回転切削器具 (NiTi-r), ステンレススチール製回転切削器具 (SS-r), 手用ファイル (Hand) を用いて根管拡大形成を行い, 材質と切削様式の異なる器具を楕円根管で用いたときの切削効率をマイクロCT像で観察し, 分析することを目的とした.

 材料と方法 : 根尖から5mmの位置で, 根管の頰舌径が近遠心径の2倍以上を示す上顎小臼歯24本を本実験に使用した. 歯を上顎歯列模型の左右側に植立し, ファントムに装着した. 術者は9~10時の位置で臨床に即してファントム上で作業し, 拡大形成法から, 8歯 (左側 : 4歯, 右側 : 4歯) ずつ次の3群とした. NiTi-r群 (K3XFファイル), SS-r群 (ERTファイル), Hand群 (手用Kファイル). NiTi-r群とSS-r群ではブラッシングストローク下で, Hand群では円周ファイリングで拡大形成を行い, 作業時間および根管拡大形成前後のマイクロCT像から根管壁面切削率と根管容積増加率を計測し, 拡大形成群間および左右間で根管切削効率を評価した.

 結果 : HandはSS-rと比較して, 根管壁面切削率が有意に大きく, 作業時間は有意に長かった. NiTi-rはHandと比較して, 根管壁面切削率に有意差はなかったが, 作業時間は有意に短かった. NiTi-rとSS-r間で, 作業時間・根管壁面切削率・根管容積増加率において有意差はなかった. 根管容積増加量はSS-rとHandがNiTi-rと比較して大きかったが, 有意差はなかった. 作業時間・根管壁面切削率・根管容積増加率において, 左右間で有意差はなかった.

 結論 : 楕円根管を有する上顎左右側小臼歯をファントム上の顎模型で拡大形成したところ, NiTi-rは短時間で効率的に切削でき, 手用ファイルと同様に適切な拡大形成ができた.

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