日本歯科保存学雑誌
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原著
Porphyromonas gingivalisを口腔感染させたコラーゲン誘発関節炎モデルマウスの解析
安田 忠司佐藤 匠松下 至宏澁谷 俊昭
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2018 年 61 巻 4 号 p. 214-224

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抄録

 目的 : 本研究は, Porphyromonas gingivalisの感染が関節リウマチ (RA) の増悪に与える影響について調べるため, RAモデルマウスとしてコラーゲン誘発関節炎モデルマウスを用いて検討した.

 材料および方法 : RAモデルマウスとして, DBA/J1マウスの8週齢を用いた. 本マウスに, エマルジョンとしてウシⅡ型コラーゲンからなる抗原液とアジュバンドを調整後, 8週齢時に1回目, 11週齢時に2回目を感作させ関節炎を惹起させた. 実験群にはP. gingivalis ATCC33277株感染群 (n=12), ならびに対照群としてcarboxy methlcellulose (CMC) 投与群 (n=12) の2群を設定した. P. gingivalisを2.5%CMCに懸濁して, 1日おきにマウスの口腔内に直接1×109CFU/mlの濃度で0.1ml投与した. 対照群は2.5%CMCを1日おきにマウスの口腔内に直接0.1ml投与した. 実験開始後から毎日, 関節炎臨床評価の経時的変化をSarkarらの方法を用いて評価した. また1週ごとに体重測定を行った. 42日目に下顎骨, 四肢の関節および血清を採取し, 以下の項目について検討した. P. gingivalisの感染を確認するために, 血清抗体価をELISAにて確認した. また, 関節リウマチの臨床マーカーであるmatrix metalloproteinase-3 (MMP-3), anti-cyclic citrullinated petide antibody (ACPA) 値をELISA法にて解析した. 下顎, 四肢のマイクロCTおよび組織学的形態を評価し, 膝関節はmatrix metalloproteinase-13 (MMP-13) 抗体を用い, 免疫組織染色を行った. 測定値は平均±標準偏差 (SD) で表し, 対照群と実験群間の有意差の検定にはMann-WhitneyのU検定を用い, p値が0.05未満で有意差ありと判定した.

 結果 : 実験群においてP. gingivalisの血清抗体価は有意に増加し, 細菌感染を確認した. 実験群は対照群と比較し四肢末端の高度な発赤腫脹を認め, 関節炎臨床評価から42日後の実験群は対照群と比較し1.9倍関節炎Scoreの増加を認めた. マイクロCTによる解析では実験群において歯槽骨の骨吸収像を認め, 対照群と比較し有意に骨吸収の増加を認めた. 実験群の四肢末端の骨は腫脹, 変形および手根骨軟骨部の破壊, 膝関節表面と膝蓋骨の粗糙を呈した. また実験群のMMP-3値は, 対照群と比較し有意に増加した. 実験群のACPA活性値も, 対照群と比較し有意に増加した. 組織学的所見から, 実験群の膝関節組織は対照群と比較し高度な炎症性細胞の浸潤, 骨破壊像を認め, MMP-13による免疫染色においてパンヌスと関節半月にMMP-13陽性細胞を認めた. MMP-13陽性細胞数は対照群と比較して有意に増加した.

 結論 : 本研究により, P. gingivalisによる口腔感染がコラーゲン誘発関節炎モデルマウスの組織破壊を促進することが示唆された.

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