日本歯科保存学雑誌
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原著
タッチキュアがセルフエッチシステムの深部根管壁象牙質接着性能に及ぼす効果
保坂 啓一米倉 和秀田口 啓太アントニーン ティヒー久野 裕介永野 大樹荒岡 大輔畑山 貴志佐藤 健人高橋 真広西谷 佳浩池田 正臣中島 正俊田上 順次
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2019 年 62 巻 1 号 p. 39-46

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抄録

 目的 : 近年, 生活歯のみならず根管処置歯に対しても接着性コンポジットレジンを用いた直接法支台築造法が行われる機会が増加している. ポスト窩洞における根管壁象牙質への接着では, 窩底部は照射光エネルギーが十分に到達しにくいことから, これまでデュアルキュア型接着システムおよびデュアルキュア型コンポジットレジンが多く用いられてきた. 現在では, デュアルキュア型コンポジットレジンとの間のタッチキュア (接触重合) によって, ボンドへの光照射が困難な部位に関しても重合性の向上を目指すシステムが紹介されている. 本研究では, タッチキュアがセルフエッチシステムの根管壁象牙質への接着性能に及ぼす効果を検討した.

 材料と方法 : ヒト抜去下顎小臼歯12本に径1.5mm, 深さ8mmのポスト窩洞を形成した後, 1ステップセルフエッチシステム, クリアフィルユニバーサルボンドQuickER (UBQ, クラレノリタケデンタル) および2ステップセルフエッチシステム, クリアフィルメガボンド2 (SE2, クラレノリタケデンタル) を用いて業者指示どおり接着処理を行った. SE2のボンドについては, デュアルキュア型コンポジットレジンとの間でタッチキュアを促進するクリアフィルDCアクティベーター (DCA, クラレノリタケデンタル) との等量混和の有無によって2群を設定した. ボンドへの光照射は, LED光照射器を用いて業者指示どおりそれぞれ10秒間行った. その後, クリアフィルDCコアオートミックスONEを充塡し, LED光照射器を使用して20秒間光照射を行った. 各接着システムについて, 根管接着試料は37°C水中に24時間保管後, 歯根軸に対し直角方向に棒状試片 (断面0.6×0.6mm) を32本作製し, 1窩洞の棒状試片を均等に分け, 合計16本の歯冠側群と根尖側群を設定した. その後, クロスヘッドスピード1mm/minにて微小引張り接着試験を行った. 得られた結果は歯冠側および根尖側, 4試料ずつ分類し, 2-way ANOVAおよびBonferroni補正を用いたt検定を用いて有意水準5%にて統計処理を行った.

 結果 : すべての群において, 根尖側の接着強さは歯冠側の接着強さより有意に低い値を示した. 歯冠側では, SE2+DCA群はUBQ群より有意に高い値を示したものの, SE2+DCA群とSE2群間, SE2群とUBQ群間の間には有意差は認められなかった. 一方, 根尖側ではすべての材料間に有意差は認められなかった. 根尖側における破断面の観察から, UBQ群, SE2+DCA群におけるBlister Formationが認められた.

 結論 : 1ステップセルフエッチシステム, 2ステップセルフエッチシステムともに深部根管壁象牙質では接着強さが減少し, タッチキュアの付与による接着性能向上効果は認められなかった. 溶媒が残存しやすく, 照射光の到達しにくいポスト窩洞深部の重合性の改善に関する課題が示唆された.

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