日本歯科保存学雑誌
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原著
試作プライマーのレジンブロックに対する接着性について
森川 裕仁保尾 謙三黄地 智子吉川 一志山本 一世
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2019 年 62 巻 1 号 p. 8-16

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抄録

 目的 : 本研究では, ハイブリッドレジンブロックに対してマトリックスレジンに含浸するプライマーを用いたレジンセメントの有効性, ならびにシランカップリング処理とサンドブラスト処理の併用について検討した.

 材料と方法 : CAD/CAM用ハイブリッドレジンブロックとして松風ブロックHCハード (松風, 以下, SH), ノンフィラー型レジンブロックとして試作レジンブロック (以下, NF) を作製して実験に用いた. 前処理材としてマトリックス含浸型プライマーのHCプライマー (以下HC, 松風) を用いた. SH, NFから被着体 (14×12×2mm), 試験体 (3×3×3mm) を作製して, 被着面にサンドブラスト処理を行った. 被着面の処理条件はHCプライマー処理 (HC群), 4%シラン配合試作プライマー処理 (HC+SI群), 試作4%シランカップリング処理 (SI群), 無処理 (NT群) とした. 各処理後に被着体と試験体を接着性レジンセメントブロックHCセム (松風) にて接着し, 硬化後37°C水中に24時間水中保管, およびサーマルサイクル負荷5,000回を行った (n=6). 万能試験機を用いてせん断接着試験を行い, 走査電子顕微鏡にて破断面の観察後, 一元配置分散分析およびTukeyの検定を用いて統計学的に検討を行った. さらにHCのマトリックスレジンへの含浸性を確認するためにNFの試験体 (14×12×2mm) を作製し, HC滴下後10分間放置しレーザーラマン顕微鏡を用いて分析を行った.

 結果および考察 : SH, NFともに24時間後はHC群, HC+SI群, SI群, NT群に有意差はなかったが, サーマル後はHC群, HC+SI群ともにSI群, NT群より有意に高い接着強さを示した. またHC群, HC+SI群は, 24時間後とサーマル後で接着強さに有意差が認められなかった. ラマン分光分析より, HCはマトリックスレジンに4~5μm含浸していることが確認された. これらより, 試作プライマーではマトリックスレジンへの含浸性とフィラーへの化学的結合の相乗効果により高い結合が得られたと考えられる.

 結論 : ハイブリッドレジンブロックに対する接着において, マトリックスレジン部に接着を求めるマトリックス含浸型プライマーの有効性が認められた. また, マトリックス含浸型プライマーにシランカップリング剤を加えた試作プライマーを用いることで, さらなる接着強さの向上が期待できることが示唆された.

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