2019 年 62 巻 4 号 p. 190-198
目的 : 根面う蝕の治療を目的とした亜鉛ガラス含有グラスアイオノマーセメント (ZIF-C10) を用い, 歯質根面に対する脱灰抑制効果ならびに再石灰化効果について検討した.
材料と方法 : ヒト抜去健全前歯を用いて, ZIF-C10 (ジーシー) に加え, 比較対照としてフッ素イオンを溶出するフジⅦ (ジーシー), グラスアイオノマーFXウルトラ (松風) を用いて脱灰抑制試験ならびに再石灰化試験を行った. 脱灰抑制試験はマイクロフォーカスX線CT inspeXio (SHIMADZU) で透過X線像を撮影し, ImageJにて深さ約200μmのエリアまでミネラルプロファイル解析を行いミネラルロス量 (vol%・μm) を算出した. また, 再石灰化試験は脱灰した窩洞に各材料を充塡し, 再石灰化溶液に60日間浸漬後, 波長掃引型OCT (swept source OCT, SS-OCT) 撮影を行い窩縁部象牙質の変化を観察した. また窩洞に近接した歯根部象牙質表層の深さ400μm, 幅400μmの領域を抽出し, 選択した象牙質部位におけるSS-OCTシグナル強度のプロファイルからシグナル強度ならびに減衰係数をImageJにて解析した.
結果 : 脱灰抑制試験の結果, ZIF-C10はミネラルロス量が他の材料と比較して有意に低く, 最も高い脱灰抑制効果が認められた (p<0.05). 再石灰化試験の結果, ZIF-C10はOCT画像におけるシグナル強度の積分値 (AUC400) ならびに減衰係数 (μt) がほかの材料と比較して有意に低く, 最も高い再石灰化傾向を示した (p<0.05).
結論 : 亜鉛ガラス含有グラスアイオノマーセメント (ZIF-C10) は根面に対する脱灰抑制効果および再石灰化効果が確認され, 根面う蝕に有効な材料である可能性が示唆された.