日本歯科保存学雑誌
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原著
講義および実習試験の評価による歯周病学教育のあり方の考察
成石 浩司坂本 英次郎生田 貴久木戸 理恵木戸 淳一湯本 浩通
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2020 年 63 巻 1 号 p. 22-29

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抄録

 目的 : 一般的に, 臨床実習前の歯学部生に対する歯周病学の教育は, 座学講義と基礎 (模型) 実習を主体とする. 本研究の目的は, 歯周病学の講義および実習の評価試験の結果の関連性を調べ, 将来の歯学部生に対する歯周病学教育のあり方について考察することである.

 方法 : 2018年度後期から2019年度前期に徳島大学歯学部に在籍し, 歯周病学を履修する歯学部3〜4年次生43名を対象とした. 歯周病学の講義前後に当該分野に関する筆記試験 (5肢2択形式) を行い, さらに歯周病学の基礎 (模型) 実習の終了時に, 顎模型を用いてスケーリング・ルートプレーニングの実習試験を行った. 講義による学生の理解度・習得度の評価は, カイ二乗検定を用いて判定した. 筆記試験および実習試験の結果の関連性は, スピアマンの順位相関検定を用いて判定した. また, 筆記試験の点数を25点満点で9点以下, 10〜12点, 13点以上の3群に分類し, 各群間の実習試験点数の差異の有無について, ANOVA-Tukey HSD解析を用いて判定した. なお, p値が0.05未満を有意差ありと判定した.

 結果 : 歯周病学の講義後の筆記試験の点数は, 出題内容によって差はあるものの, 講義前と比較しておおむね有意に上昇した. 筆記試験の結果と実技試験の結果は, 有意に相関した (r=0.34, p=0.025). また筆記試験の点数が9点以下の群における実習試験の点数は, 筆記試験の点数が10〜12点, 13点以上の群と比較して有意に低かった (p<0.05). 一方, 筆記試験の点数が10〜12点と13点以上の群間における実習試験の点数に有意差は認められなかった (p=0.76).

 結論 : 臨床実習前の歯周病学の学生教育において, 筆記試験の点数と基礎 (模型) 実習試験の点数は有意に相関した. このことは, 将来の効果的な歯周病学の教育システム構築の一助となる可能性を示唆する.

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