日本歯科保存学雑誌
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症例報告
バイオアクティブガラス配合根管用シーラーを併用した単一ポイント根管充塡で封鎖した上顎右側第一・第二大臼歯の1年間経過観察
鷲尾 絢子小田 昌史森本 泰宏北村 知昭
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2020 年 63 巻 1 号 p. 90-95

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抄録

 目的 : 本報告では, 上顎第一・第二大臼歯に発症した慢性根尖膿瘍 (瘻孔を有する慢性根尖性歯周炎) に対する非外科的再根管治療, およびバイオアクティブガラス配合根管用シーラーを併用した単一ポイント根管充塡から1年後の経過を示す.

 症例 : 42歳男性. かかりつけ歯科医院より, 上顎右側大臼歯部歯肉に存在する改善しない瘻孔の治療を目的に紹介された. 口腔内診査, 口内法エックス線撮影, および歯科用コーンビームCT (CBCT) 撮影から上顎右側第一・第二大臼歯の慢性根尖膿瘍と診断した. 両大臼歯の根尖病変は融合し, 両歯の頰側根根尖を含んでいた. 非外科的再根管治療後, バイオアクティブガラス配合根管用シーラーを併用した単一ポイント根管充塡法により根管充塡を行った. 口内法エックス線画像では適切な根管充塡が確認され, CBCT画像による術前および術後1年の比較では, 両大臼歯根尖部の融合していた透過像はほぼ消失していた. また, 両大臼歯に近接した上顎洞底粘膜の肥厚は有意に消退し正常状態を示していた.

 結論 : 本症例における非外科的再根管治療の成功は, バイオアクティブガラス配合根管用シーラーを併用した単一ポイント根管充塡法が根管充塡法の成功を見込める選択肢であることを示唆している.

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