2020 年 63 巻 6 号 p. 494-502
目的 : エッチングモードおよびアクティブ処理の有無がユニバーサルアドヒーシブのエナメル質接着性に及ぼす影響について, 接着強さ試験, アドヒーシブ塗布後のエナメル質面における表面自由エネルギー測定および走査型電子顕微鏡 (SEM) 観察を行うことによって検討した.
材料と方法 : 供試したユニバーサルアドヒーシブは, Clearfil Universal Bond Quick (Kuraray Noritake Dental) である. 接着試験には, ウシ下顎前歯のエナメル質を, 耐水性SiCペーパーの#400まで順次研削して用いた. アドヒーシブの塗布に際して, リン酸エッチングの有無ならびにアドヒーシブのアクティブ処理の有無という4条件を設定した. アドヒーシブ塗布面にコンポジットレジンを接着させた試片を37°C精製水中に24時間保管後, 万能試験機を用いて接着強さを測定した. さらに, アドヒーシブ処理面の表面自由エネルギーを測定するとともに, SEM観察を行った.
成績 : アクティブ処理の有無にかかわらず, リン酸エッチングを行うことで有意に高いエナメル質接着強さが得られたものの, アクティブ処理の有無は接着強さに影響を及ぼさなかった. エナメル質の表面自由エネルギーは, リン酸エッチングによって有意に高くなったものの, アドヒーシブ塗布後では, リン酸エッチングの有無にかかわらずアクティブ処理によって低下する傾向を示した. SEM観察から, リン酸エッチングによってエッチングパターンが明瞭に観察されたが, アクティブ処理を行うことでこれが不明瞭になった.
結論 : ユニバーサルアドヒーシブのエナメル質接着性は, リン酸エッチングを行うことで向上し, 表面自由エネルギーとしては極性成分が上昇することが明らかとなった.