日本歯科保存学雑誌
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原著
ブタ抜去歯を用いた新しい感染根管モデルの検討
藤田 将典樋口 直也稲本 京子堀場 直樹
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2021 年 64 巻 2 号 p. 133-140

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抄録

 目的 : 本研究では, ブタ抜去歯の根管内に細菌を感染させ培養することで感染根管を作製し, in vitro実験系に用いる感染根管モデルとしての有用性を検討した.

 材料と方法 : ブタ下顎臼歯を抜去後, 近心根と遠心根に分割し, 通法に従い#60まで根管拡大形成を行った. 根管内に菌数を調製したEnterococcus faecalisの菌液を満たし, 21日間37°C下で好気的に培養した. 次亜塩素酸ナトリウム溶液による根管洗浄前, 根管洗浄直後および2日後において, ①段階希釈法を利用した根管内細菌数の比較, ②SEM下での根管表面の観察を行った.

 結果 : 根管内細菌数の分析では, 次亜塩素酸ナトリウム溶液による根管洗浄直後は, E. faecalisの数が検出限界以下にまで減少したが, 洗浄後2日間経過した根管からは, 生理食塩水を用いて洗浄した根管と同等数のE. faecalisが検出された. また, SEM下での観察では, 次亜塩素酸ナトリウム溶液による根管洗浄直後は, 根管表面にみられなくなったバイオフィルム様の付着物が, 洗浄後2日間経過した根管で再び観察された.

 結論 : ブタ抜去歯を用いた感染根管モデルは, 新たなin vitro実験系に有用に使用できる可能性があることが示唆された.

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