歯科医学
Online ISSN : 2189-647X
Print ISSN : 0030-6150
ISSN-L : 0030-6150
大阪歯科大学附属病院睡眠歯科外来における初診患者の臨床統計的検討
奥野 健太郎小渕 隆一郎眞砂 彩子森田 達髙橋 一也中嶋 正博
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 82 巻 2 号 p. 56-62

詳細
抄録

閉塞性睡眠時無呼吸症(obstructive sleep apnea: OSA)は,睡眠中に呼吸が減弱する,あるいは停止し,睡眠が障害される全身性の疾患であり,国内での有病率は成人人口の約5%,推定患者数500万人以上といわれている.近年,医療機関を受診するOSA患者は増加傾向にあり,歯科が行う口腔内装置(oral appliance: OA)治療への期待が高まっている.大阪歯科大学附属病院では,2017年9月に専門外来として睡眠歯科外来を開設した.今回,当専門外来の初診患者の特徴について検討したので報告する.2017年9月から2018年8月までの1年間に,当専門外来を受診した初診患者126名を対象とした.初診患者の年齢は55±14歳,肥満度(body mass index: BMI)は25.2±4.7kg/m2,無呼吸低呼吸指数(apnea‐hypopnea index: AHI)は28.3±16.9/hであった.受診患者のOSA重症度に関しては,軽症例22%,中等症例36%,重症例42%であり,重症例の紹介が最も多かった.特に,医科での治療法である経鼻的持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure: CPAP)治療の適応となるAHI≧20の症例の紹介が68名と多く,紹介理由はCPAPからOAへの移行,CPAPとOAの併用,または同時装着治療,患者のライフスタイルを考慮するなど様々であった.紹介元に関しては,医科からの紹介が76%,歯科からの紹介が20%であった.当専門外来の初診患者の特徴について検討した結果,医科からの紹介が多く,重症OSA患者の割合が多いことが明らかになった.口腔内装置治療の適応を連携睡眠医療機関に対して明示することで,良好な医科歯科連携を構築することができ,医科から重症患者が多く紹介されたのだと考えられた.本研究から,当専門外来は睡眠医療における歯科大学病院としての役割を果たしていることが示された.

著者関連情報
© 2019 大阪歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top