歯科医学
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舌癌組織内照射における適応と拡大
清水谷 公成
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2020 年 83 巻 2 号 p. 61-67

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抄録

密封小線源治療は古くから行われ,口腔癌に対して高い局所制御率が得られている.本治療法の特徴は腫瘍への優れた線量集中性である.スペーサーを利用することで線源から10mm離れた箇所での50%線量低減などの特徴もあり,30年以上もの間,本法が存続できた大きな理由と考えられる.密封小線源治療である組織内照射は口腔癌の中では舌癌,口底癌,頬粘膜癌が適応となる.1973年,大阪大学医学部附属病院放射線科に針状線源であるIr‐192(半減期74日)ヘアピンおよびシングルピンが導入された.

 低線量率組織内照射(low dose rate interstitial brachytherapy: LDRと略す)である.本治療法はRa‐226線源に代わって,1973年〜1991年まで行われた.

 一方,1991年,同病院ではIr‐192線源を用いた遠隔操作式後充填法(RALS:remote afterloading system)による高線量率組織内照射装置(Nucletron社製microSelectron‐HDR: MS‐HDR)が導入された.高線量率組織内照射(High dose rate interstitial brachytherapy: HDRと略す)である.

 そこで今回,低線量率(LDR: low‐dose rate)組織内照射と高線量率(HDR: high‐dose rate)組織内照射における適応と拡大について検討し,以下のように結論付けられた.

 1)舌癌組織内照射(LDR, HDR)は治療を選択する患者,提供する医療者にとって重要な選択肢(適応)の一つであり,舌癌根治治療において極めて有用性の高い治療法である.

 2)特にHDRは隔離病室の必要性がなく,医療従事者の被曝が皆無で,かつ局所制御率においてLDRと遜色がない優れた治療法である.また,T分類別局所制御率においてもT3の進行癌に対してHDRの治療成績が高いことから,今後,その適応拡大が期待されるところである.

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